薬は国から承認を受けなければ医療機関や薬局で取り扱うことができません。国から薬として承認を受けるために、健康な人や患者様の協力によって行う臨床試験を「治験」といいます。
「治験」が行われるのはなにも新しい薬に限ったことではありません。海外ですでに使われている薬でも日本国内で使う場合は「治験」が必要です。耳慣れない言葉ですが、最近始まったものではなく、現代医学とともに歩み、歴史と実績のある、しっかりと確立された制度なのです。
薬の成分は、化学合成や、植物、土壌中の菌、海洋生物などから発見された未知の物質から生まれます。発見された物質は、動物実験などを繰り返して、病気に効果があり安全かどうかを試験されます。
しかし、やはり人が使うものですから、この「くすりの候補(治験薬)」が本当に人に対して効き目があるのか、安全なのかなどを確認する必要があります。
「治験」は全ての先進国で行われています。その正確さや人権の尊重を重視して、世界的に統一された基準があります。
ボランティア意識の発達している先進諸外国では、「治験」に対して「献血」と同じような、社会にとって必要なことだという意識が広がっています。
世界各国で開発された新薬を100とした場合、多くの先進諸外国では80〜95の薬がすでに使用されているのに対して、日本では15〜20程度だといわれています。日本では「治験」への認識が低く、協力が得られず、新しい薬の誕生が遅れているのが現状です。
「治験」の理解者が増えることで、病気で苦しむ患者様が待ち望む薬を、いち早く世に送り出すことが出来るのです。
新しい薬ができる過程で、治験の役割を見てみましょう。
新しい薬は、10年以上もの歳月をかけて創り出されるといいます。 その長い年月の中で、治験はどんな場面で行われるのでしょうか。 薬が誕生するまでの流れの中で、治験の役割を理解しましょう。
植物や科学物質、微生物などの中から薬になりそうな物質を探す研究が行われます。
ねずみなどの動物により、安全かどうか、効き目はあるのかを調べます。動物実験で効果と安全性が確認されたものだけが「新しいくすりの候補」となり、人による臨床試験に入ります。
少数の健康な成人を対象にして、主に安全性を調べます。
少人数の患者様の協力のもと、「くすりの候補」の安全性と効き目を調べます。
多くの患者様の協力のもと、今まであった薬との効果の違い等を比べます。効果や安全性、使い方について、最終的な確認をします。
国(厚生労働省)に「薬」として認めてもらえるように申請します。治験のデータ等をもとに厳しく審査され、効果と安全性が確認されると「薬」と認められます。
承認を受け製造販売され、医師や私たちが使えるようになります。多くの人が使う中で、安全性や効き目について情報を集め、さらに分析します。
薬が誕生するまでの過程の中で、治験にかかる時間が一番長いのです。
それほど治験は重要で、慎重に行われているのです。
治験は患者様の善意に基づいたボランティアになります。このためその治験を受けるメリットとデメリットを充分にご検討いただいた上でご判断ください。
被験者が治験へ参加を決定する際に、治験に関してあらゆる角度から 十分に説明を行わなければなりません。
被験者が治験に関して理解し、自由な意思によって治験へ参加することに同意し、書面によってそのことを確認します。
インフォームド・コンセントは、被験者と担当医師による署名と日付が記入された同意文書をもって証明されます。
治験において説明しなければならない内容はGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)に定められており、その内容をできる限り簡単な表現を用いて示さなければならないこと、被験者からの質問に十分に答えなければならないということも定められています。
同意説明文書には、このような説明事項が記載されております。
* 治験モニタリング担当者の略。医薬品開発の治験実施機関において、治験が適正に行われているかどうかを監視、確認する人。
同意説明文書には、このような説明事項が記載されております。
治験コーディネーター(CRC)は治験に参加される患者様(被験者)の人権を守り、治験を円滑にすすめるためのスタッフとして治験をサポートしています。
安全面、プライバシーの保護に注意を払い、適切な対応ができるように努めています。
aSBo(アスボ)は、「医療の発展が明日の希望へ」をモットーに、治療の選択肢の一つとして治験をご案内するWEBサイトです。安全で安心の治験をサポートするとともに最新の医療をうけられる機会を提供します。